*English translation
日本語と英語の語順はまったく逆と言っていいぐらい、違いますね。例えば、
スミスさんは 仕事の後で 小川さんと テニスを します。
Smith will play tennis with Ogawa after work.その理由は英語が、subject (主語) →verb (動詞) →object (目的語) と続くのに対して、日本語はverb (動詞) が文の最後に来るからです。皆さんも日本語を勉強している間に、この点は実感していることでしょう。そして、日本語を話す時には、英語で考えることから少し離れなければいけないと感じているでしょう。
この語順について、ある本におもしろいことが書いてあります。著者は「金田一春彦」(きんだいちはるひこ)、日本を代表する言語学者です。本の名前は『ことばの歳時記(さいじき)』です。本は日記スタイルで、毎日彼が言語について短いエッセイを書いています。今日はその中の一つを紹介します。11月8日のページに金田一が書いたことをほとんど全部ここに書き写しますが、皆さんがわかりやすく読めるように、私が彼の文章を少しシンプルにします。ただ、私は彼の著作権を侵害するつもりではありませんので、ご了承くださいね。
逝く秋の 大和の国の 薬師寺の 塔の上なる ひと片の雲
(佐佐木信綱・ささきのぶつな)
この短歌を英語に訳したら、元の歌とまったく逆になりそうだ。二つの言語を比べてみると、英語の方は「雲」が最初に出てきて、何を詠んだ歌か、明快だ。それに比べて、日本語の方は読みおわって、はじめて「雲」を詠んだことがわかる仕組みになっている。
日本語の非能率性が思われるが、しかし、もしこの歌の趣をビデオにでも映す場合はどうするか。逝く秋の情景を写し、大和の国(奈良県の昔の名前)から薬師寺へと場所を狭めてゆき、有名な三重塔を写して、それも下層の方から順に上層の方にカメラを移動させ、塔の上部でピタッと止めて、その上の晴れた空にかかっている白い雲を写しそうである。
日本語の順序は実用的ではないが、芸術の精神にはよく合っている。
以上。金田一春彦、『ことばの歳時記』、新潮社、2005年
皆さんは、著者の考えをどう思いますか?私は、ユニークな語順のおかげで、日本語の短歌がビジュアル的に美しく詠まれているという点がとてもおもしろいと思いました。英語でも詩の場合は語順を変えることがありますね。でも、このカメラの動かし方のような語順にはならないかな?
*金田一春彦:http://en.wikipedia.org/wiki/Haruhiko_Kindaichi
*薬師寺:http://www.nara-yakushiji.com/guide/index.html
*薬師寺:http://www.nara-yakushiji.com/guide/index.html
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秋 御岳山 |
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